考える学習をすすめる会トップページ
 >> 
トップクラスに入る勉強法コラム >>柳沢達城




「なぜ得点が下がる?高得点の落とし穴」【その1】

考える学習をすすめる会 学習コーチ 柳沢 達城


〜「点数と実力のギャップ」に気づかないと大変なことに〜

これは実話です。

私の住む市内のS塾では中間テストや期末テストのコピーを何年分
も保存しておき、それをもとに「テスト対策」を集中して行い、生
徒にトコトン「問題の解き方」を覚えさせます。

その結果、高得点を取るお子さんが続出するそうです。

進学校の中学生が、その評判によって数多く集まります。特に、テ
スト前などは、S塾の生徒が教室にその「対策問題」をもって来て、
これ見よがしに勉強しますので、他の生徒たちはことのほかあせり
ます。

知り合いのお子さんが通っていたので、この話を知ることができま
したが、私はこの話を聞いたとき、あ然としました。

「そうまでして点数を取らせたいのか?」

実力をつける学習指導において、そのような「ヤマカケ」や、「応
急処置」のようなものはあきらかに邪道です。

S塾に限らず、多くの塾や家庭教師は、似たようなことをしていま
す。しかし、「ほんの一握りの上位のお子さん」を別にして、本当
の実力を問われる総合テストで、みごとに点数を下げてしまい、志
望校の変更をよぎなくされる生徒が続出するのが実際のところなの
です。

なぜ、このような一時しのぎの学習指導がまかり通るのか?
それは、点数には魔力があるからです。
点数が良いと、実力が伴っているように見えます。親も安心します。

しかし、「実力」の裏づけによる点数なのかどうか、一度疑ってみ
る必要があります。お子さんの「実力」を知る、とても簡単な方法
がありますのでご紹介しましょう。

それは、すでに学習済みの範囲で、教科書に出てくる「ことば」の
意味を、自分のことばで「説明」させてみれば良いのです。

もし、これをお読みになっているあなたが、中学生か高校生なら、
ノートにその説明を書けるかどうかやってみましょう。


例えば、歴史の教科書には、「○○の政治」と言うことばがよく出
てきますね。武士の「政治」とか、江戸幕府の「政治」体制とかの
ようにです。

では、「政治」とは何か説明できますか? 実際には、

「政治ってなんだろうね? 小学校6年生ぐらいの子に説明するよ
うなやさしいことばで説明してごらん」と聞いてみましょう。

私の経験では、100人中95人は説明不能に陥ります。実は大人
でもそうです。かなり「できる子」でもそうです。

教科書にちゃんと書いてあって、意味のわからないことばがあって
も平気でいる。調べようともしない。聞こうともしない。そのくせ
点数はとりたい。このような場合、かならずあとで大きな壁にぶつ
かります。大事な場面で点数を落とします。

この場合は、「知識の確かさ」の面での実力不足です。本当に自分
のものになっている知識ならば、どんな聞き方をされても説明でき
ます。実力と点数のギャップがはっきり現れる場面です。

勉強とは、「ことばを習得するプロセス」なのです!

だから、地道な努力と、ある程度の時間がかかります。それはあた
かも、農場において種をまき、雑草を抜き、水をまき、栄養をあた
え収穫を待つようなものです。自然の法則に逆らって「インスタン
ト」で収穫することなどできません。

勉強も同じです。それなりの方法を使えば目先の試験はごまかせる
でしょう。しかし、本当の教養や学力などは身につけられるはずは
ないのです。

先ほど、100人中95人が説明できないと書きました。そうです
「ことばの理解に重点を置いた学習」を行えば、「トップ5%」の
実力を手に入れることができるのです。

これは、小学生でも、中学生でもそして高校生でも同じことです。



「なぜ得点が下がる?高得点の落とし穴」【その2】

◎勉強法を変えて、逆転合格を果したJ君の話

それは昨年の夏休み明けのことです。
塾に来たJ君が、いつもよりも暗い顔をしていました。

「J君、どうしたの?」

「実は、総合テストの結果が・・・」

「どうだったの?」

「360を切りました・・・」

「え、本当か?」

私は驚きました。

これまでの彼の成績なら、県内トップ校の合格は間違いないと思っ
ていました。しかも、J君は授業態度もよく、内申書も申し分ない
状況だったのです。

J君といろいろ相談した結果、私はもう少し学習時間を増やすこと
とと、各科目の勉強法についていくつか指示をし、やり方を改善さ
せました。

その後約3ヶ月が経過。400点が復活。しかし、学年順位はいまだ25
番前後であり、10番以内に入らないと合格は望めません。

悪いことが続きます。J君が受験した、県内最大手塾の模擬試験の
結果を見てがく然としました。合格判定が40%に満たない状況で
す。

「なんだこれは?」

私は悩みました。「何が足りないと言うのだろう?」

J君も原因が良くわからないようです。考える学習をすすめる会の
ベテラン塾長の城内先生に相談しました。

先生から、「その模試の結果では、かなり厳しいですね。柳沢先生、
このままだと合格は無理です。入試問題を使って、すべての科目を
どのように解いているかを、1問1問チェックしてみなさい。」との
アドバイスをいただきました。

個人レッスンを2回、3回と重ねるうちに、私はJ君の大きな不振
の原因をつかみました。


たとえば、社会でよく出てくる「資料」を読ませ、問いに答える問
題では、その資料がいつの時代なのかをわからない。わからないな
ら調べてみたのかと言うとそうではない。毎年出る年表の「重要な
出来事」について、「なぜその出来事が起きたのか?」についても
答えられない。

英語にしても、本文中に「知らない単語」があっても、問題を解く
ことに関心が高く、私に質問もしなければ、調べもしない。


「J君、申し訳ない」私は心の中で彼に謝りました。
「底の浅い勉強」をさせていたのは私の指導に原因があったのです。
J君の点数の良さに気をよくしていた私は、わからないことばに対
する「こだわり」を彼に徹底させていなかったのです。

原因をつかんだ私は、J君に「ことばの理解重視の勉強」をひたす
らさせました。期間は1ヶ月。結果は合格でした!

私は、高得点の落とし穴を痛感しました。

「できる子」に対する「甘さ」がまだ自分の中にあったことをこの
経験を通じて猛省しました。

ことばの理解を深めるには、辞書を引くだけでは足りません。たと
えば、前号で話題にした「政治」を辞書で引くと、ふつうは、「国
家を治めること」と簡潔に説明してあります。

では「国家を治める」は何を意味しているのかイメージできます
か?

ここで、イメージをふくらませ、その意味を感じることができるか
どうかが、大きな分かれ目です。

すぐに答えが出なくても良いのです。疑問をしばらく持つことが大
事なのです。

効果的なのは、先生や友達に協力してもらい、自分なりの理解を説
明し、聞いてもらうことです。

個人で学習していくには、やはり、イメージチャート*を活用して
欲しい。つまり、「ことば」と「ことば」をつなげていくのです。

*詳しくは「心の豊かな賢い子供を育てる12章」の3月23日号を
お読みください。
 
⇒ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000121748 


たとえば、下記のようにです。

政治・・・政治家・・・貴族・・・藤原氏

        ・・・天皇家・・・白川上皇
 
        ・・・武士・・・源氏・・・

  ・・・法 律
    ・・・国 家
  ・・・権 力・・・軍事力
        ・・・警察 
  

ことばの「つながり」をさぐることを「考える」というのです。
鉛筆一本と、白い紙を用意してイメージチャートをまずは30枚書
いてみましょう。イラストを追加したり、色鉛筆やマーカーでつな
がりを色分けしても良いでしょう。

<まとめ>

トップ5%を目指すあなたに要求される「ことば」の学習習慣

1、「当たり前」のことばの意味するものに疑問を持ち、考える
  
2、ことばどうしの「つながり」を見つけ出す

3、すぐに「答え」を求めない

4、辞書は「ヒント」として活用する




             あなたの学習コーチ 柳沢達城