「速く覚えて忘れない記憶術!」
==はじめに==
私は高1まで、自分の記憶力の悪さにつくづく愛想がつきていまし た。
私のメルマガ「
今日から実践! 心の豊かな賢い子供を育てる1 2章
」で、さんざん『考える学習』を唱えてきましたが、これは 記憶しなければならないことを減らす防衛手段でもあったのです。
理解していれば関連項目のつながりがわかり、無理して覚えなくて も自然に連想が湧いてきます…
とは言っても、勉強していて理屈抜きに覚えなければならないこと があります。そんなときにはどうするか?
私は高2の時、本屋で一冊の記憶術の本に出会いました。著者は渡 辺剛彰先生です。それをきっかけにいろいろな記憶術関係の本を読 んで研究しましたが、結局渡辺剛彰先生の記憶術に落ち着きました。 それ以来、記憶には自信がつき、ふだんの勉強は「理解」に重点を おき、そのあと整理したことを記憶術でさっと暗記するようになっ て、勉強にとても余裕が持てたことを感謝しています。
ですから、これからお話しする記憶術は、渡辺剛彰先生の本から学 んだことが核になっています。
==「享保の改革」の内容を覚えよう==
私のメルマガ第7章で登場したM子。入試直前に「おじさん、江戸 時代の三大改革(享保の改革・寛政の改革・天保の改革)、どうもご ちゃ混ぜになっちゃう。何かいい覚え方ないかな?」と言ってきま した。
「そうかい、それぞれの改革が必要だった時代背景を理解すること が先 だ。そして、『目安箱』とか『人返し令』の内容を、言葉からしっ かりわかっておこう。それでほとんどは自然に覚えるよ」「でもそ のあと、記憶を完全なものにしておこうか」
M子も小さいときから「3歩あるいたから忘れた!」と自分で言う くらいに、記憶力は良い方ではありません。時代背景や1つ1つの 事柄・意味を解説したあと、1つの記憶法をM子に伝授しました。
それが次の方法です。
==覚える事項の整理==
教科書の「享保の改革」の説明に出てきて、覚えなければいけない 事項に順に数字をつけます。いくつ覚えなければいけないか確認。 教科書では高校日本史とちがって内容と一致する用語が書いてない ものがあります。そのときは、「これを○○と言うよ」と教えてし まいます。言葉は短いほうがいい。
書き出すと、次の7つです。読者のみなさまならどうやって覚えま すか?
私の提案どおりに一緒にやってみてください。
1.質素・倹約 2.武芸の奨励 3.上米(あげまい)の制 4.新田開発 5.足(た)し高の制 6.目安箱(めやすばこ) 7.公事方(くじがた)御定書(おさだめがき)
==基礎結合法==
M子に質問されたのは彼女の家の茶の間ででした。
「M子、茶の間の入り口から左回りに目につく物を7つ挙げろよ」
彼女が挙げたのは次の7つ。
1)熱帯魚水槽 2)サイドボード 3)ピアノ 4)テーブル 5)掛け時計 6)エアコン 7)パソコン
「これからおじさんが言うとおりに想像しろよ」
1.「お前のさいふをそのまま大きく拡大して、ひもでぐるぐる巻
きにする」 「それを水槽のなかにドボンと沈める」ハイ、終わり
2.「サイドボードの中に武士がたくさんひしめいている。剣道の
練習を始めた」 「ああ、ヤバイ、中のコーヒー・カップやガラスをどんどん割
ってる」
3.「ピアノの上に暴れん坊将軍吉宗がいばって座ってるぞ。まわ
りには大名がいっぱいひれ伏している」 「あ、大名がみんな米俵を一俵ずつ頭の上に乗せて、将軍に差
し出している」
4.「テーブルの上にお百姓さんが整列したぞ」 「あれ、クワで開墾しだした。水を引いてきた」 「テーブルが水田になっちゃった」
5.「掛け時計から毛むくじゃらのムサイ足が飛び出した」 「足を上げた。ウォーター・ボーイズかい? 見たくね〜!」
6.「エアコンにでっかい口が開いた。『投書しろ!』って言って
るよ」
7.「パソコンの画面に『くじ』がいっぱい刺さっているよ。当た
りくじはどれかな?」
ウロコ先生:「はい、これでおしまい!! いまやった7つの想像を、
それぞれを見ながら再現できるか?」
M子:「うん、簡単」
ウロコ先生:「じゃ、享保の改革を覚えたよ」
M子:「??????」
==「享保の改革」を覚えたよ==
1.さいふがひもにぐるぐる巻かれているから開かない
→「質素倹約」
2.剣道の練習→「武芸の奨励」
3.米を差し出している→「上(あげ)米」
4.開墾して田んぼにした→「新田開発」
5.足(あし)を上げた→「足(た)し高の制」
6.投書箱→「目安箱」
7.くじ→「公事方(くじがた)御定書」
この想像を忘れないかぎり、再現できます。忘れたら何番目を忘れ たかがわかります。忘れたものは、想像が上品すぎたのです。
==記憶術とは?==
その一端を紹介しました。記憶術とは、『想像力(連想力)…それも 大げさに想像したもの』を利用し、記憶に残す方法です。
ここでは、絶対に忘れないもの(基礎)を利用して、その基礎に覚え る1つ1つを想像で結びつける方法をとりました。【基礎結合法】
覚える数だけ基礎を用意して、1つの事柄を5秒くらいで(慣れた ら2〜3秒)大胆に想像して結びつけていってしまいます。基礎を 忘れないかぎり、そして想像が消えないかぎり記憶は残ります。
そして覚えたことがいくつ、忘れたものは何番目と何番目のように、 いくつ忘れたかもはっきりします。忘れたものだけ想像しなおせば 良い。復習がとてもラクというだけじゃなく、覚える作業は机でだ けじゃなくなります。
思い出す作業は、風呂の中、歩きながら、寝ながら、いつでもでき るのです。
==記憶術のいろいろな方法==
歴史の年号・友だちの電話番号・生年月日等、数字を覚えるには 「数字変換法」、本の文章や詩を暗唱するための「連想流れ法」な ど、いろいろな方法があります。
1回で紹介するのはとても無理ですが、今回の「基礎結合法」では、 項目事ごとにわけた20〜30くらいの内容は、手軽にできて、想 像にちゅうちょしないかぎり5分かからず完璧に覚えられ、覚え続 けられることがおわかりですね。基礎を用意して、どんどん使って ください。
「速く覚えて忘れない記憶術!」【その2】
==【数字変換法】==
〔語呂合わせ法〕
“仏教伝来ご参拝(538)”
“いい国(1192年)つくろう鎌倉幕府”
“意思むな(1467)しく大乱起きる…応仁の乱”
今までにすっかりおなじみになっている、語呂合わせで覚える歴史 年号です。
しかし、これらのように無理がなく傑作と言えるものはごくわずか。
“跳び箱(1185)崩れて平氏滅亡”
“色よく(1649)染まる慶安の御触書”
など、ちょっと無理っぽい、苦しいなと感じる語呂合わせの方が圧 倒的に多いでしょう。語呂を覚えること自体に苦労しそうです。
【数字変換法】
(1)
私なら平氏滅亡は「壇ノ浦で平氏の公家たちが乗る『流氷』が 崩れ、おぼれかけて『馬のしっぽ』をつかんでいる」を想像してあ るだけ。
(2)
また慶安の御触書は「江戸の街に御触書の巨大な立て札がたち、 そこに雨に濡れないように『ナベ』をかぶせます。そのナベは『チ ャック』 で開閉式になっている」を想像してあるだけ。
私の中では(1)の『しっぽ』は12番目、『流氷』は85を表す物です。 だから、12世紀の85年→1185年になります。
(2)では『チャック』は17番目、『ナベ』は49を表す物です。だか ら17世紀の49年→1649年になります。
「数字がなぜ覚えにくいか!」それは、数字ほど抽象化されたもの はないからです。とても想像しにくい。
〔語呂合わせ法〕は、数字に適当な語呂を与えて『想像できる意 味』を生まれさせたものです。しかし、語呂がやはり抽象的になり やすいこと、語呂を覚える苦労があることで、それほどラクとは言 えません。
==00〜99までの数字を具体的な物に変換する作業==
数字変換法は、00から99までの2桁の数字をあらかじめ自分が想像 しやすい物に変換して用意しておくのです。その規則性については 「アイウエオ…」の50音表を使います。
私が使っているのは「アイウエオ」の母音は意味を持たない調整す る言葉としてとっておき、「カ行(カキクケコ)は1」「サ行は2」 「タ行は3」「ナ行は4」…「ラ行は8」、「バ行,
パ行が9」、 「シャ行,
チャ行が0」です。
紙に00から99まで10×10のマスを作り、数字を並べて、そこにその 数字を変換することばを作って書き込んでいきます。
「00なら『注射』」「01は『釈迦』」…「10は『汽車』」「11は 『柿』」…「31『月』」…「49『ナベ』」…「83『レタス』」… 「98『バラ』」「99『バンビ』」という具合にして。
また、年号の世紀のようなもの用に、『順番…何番目』を表す物も、 この00〜99までの変換物とは別に用意します。やはり「50音表」を 使って、「つまる音」の言葉を作っていくのです。「1番目『アッ プルパイ』」「2番目『一寸法師』」…「6番目『河童(かっ ぱ)』」「11番目『サック』」「17番目『チャック』」…という具 合です。
==数字→物,
物→数字に即座に変換できるようにする訓練==
数字を見たら2桁ずつに切り、それを自分の用意した物に変換した り、その逆で物を見たら50音の規則性に従った数字に即座に変換で きるようにする訓練をしなければ実用になりません。
50音表をよく見たり、00〜99まで自分が作った表を常に見ること。 また、私が使った方法は、道ですれちがう車のナンバーを見てすぐ に変換を試すことでした。「1354なら、『カツ』『羽』」のように して。これはいい実験台でした。
==訓練しながら使う==
友だちやお父さん・お母さんなどに、無差別に10桁の数字を5つく らい書き出してもらいます。そしてそれを2桁ずつに切って変換し てつなげていくと、10桁の数字くらいはわけなく覚えることができ ます。物を5つ覚えるだけですから。想像では、なるべく擬人化し ます。
たとえば、1285314572なら、
12/(傘)85/(流氷)31/(月)45/(ナイフ)72/(ヤスリ) になります。
「傘が流氷を突き抜く」→「その流氷が月まで飛ばされ、月に重傷 を負わせた」→「重傷の月はナイフで傷口をスッパリ切った」→ 「そのナイフはボロボロになって、荒いヤスリに刃を磨いてもらっ た」
こんな結びつけ【連想結合法】ができれば、傘(12)→流氷(85)→月 (31)→ナイフ(45)→ヤスリ(72)、と次々に数字を覚えることができ るでしょう。
電話番号なども、2桁ずつの数字に切って、同様にして連想で覚え てしまいます。
実際にどんどん使うこと、これが「数字変換」が速くできるように なるコツです。
==歴史年号==
数字変換にすれば、今年まだ2004年ですから年号は「何世紀」の 「何年」と分ければ、覚えることは常に2つしかありません。事件 なり出来事と「何世紀(順番変換)」「何年(00〜99変換)」の2つの 数字を、5秒前後でなるべくおもしろおかしい想像をして結びつけ ていけばいいんです。
私の例では、
仏教伝わる(538年) →6世紀(河童),38(樽(たる))です。河童が重い、でっかい仏像を背 負い、樽の丸船で玄界灘を日本に向かっている。苦労してるぞ!
文永の役(1274年) →13世紀(すっぽん),74(柳)です。元の大船団が北九州に攻めてき た。日本は海岸線にぎっしり柳の木を植えて、それぞれの柳に、元 (げん)の兵 士に噛みつかせるようにすっぽんをひもでつないで守 りにした。
日清戦争(1894年) →19世紀(鉄砲),94(バナナ)。日本の兵隊は、鉄砲を背中にかつい で、抗戦はバナナの皮を相手兵に投げつけた。相手兵はみんな足を つるんとさせてひっくり返り、日本が勝利した
… … …
このように、なるべく奇想天外な連想をしていきます。あたりまえ のまじめな連想では印象に残りません。なるべく巨大化すること、 ナンセンスな想像をすることが覚え続けるコツです。
そして、連想にちゅうちょしたり、2つ以上の連想をしてはいけま せん。
「思い切りよく連想する」→それには1つにつき3〜5秒くらいが 適切で10秒以上かけると連想に迷いが生じます。
「1つの年号を5秒で覚える」、これが記憶術をつかう醍醐味(だ いごみ)です。
==最後に==
何事もそうですが、脳に新しい回路をつくるときは、それなりの準 備と時間が必要です。
今回ご紹介した【数字変換法】も、〔00〜99まで100個の言葉づく り〕〔順番変換の20個の言葉づくり〕〔連想のコツ会得訓練〕など、 記憶術のマスターには準備するものがたくさんあります。1週間は かかるでしょう。
これをめんどうがっていては記憶の達人にはなれません。 Dr.Kazu
の腹筋訓練と同じく(?)、最初の準備に手間ひまをかけ、 地道な初期訓練をした場合には、それにかけた時間などすぐに取り 戻せる、実り豊かな成果が待ち受けています。
私は高2でこの記憶術を知ってからは記憶力に自信を持ち、ふだん の勉強では記憶を気にせず、「理解すること」と「最後に記憶すべ き事項を整理しておくこと」に集中できました。
理解できたと感じたら、そのあと必要事項を記憶術でさ〜と覚えて しまえば済むからです。
また、自分のくそまじめな性格が相当改善されました。記憶術の連 想で、ナンセンスな想像、奇想天外な想像をくりかえすうちに、性 格がどんどん外向的になり明るくなっていく、冗談がすっと出てく るようになった自分に驚きを感じたことをよく覚えています。
みなさん、使える方法はどんどん使ってくださいね。
記憶術のテクニックは、2回にわけてここでお伝えした以外に、ま だたくさんあります。
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